僕が出逢った十人十色

藤澤 直武さんが目指す誰もが誇りを持てる世の中 Vol.4 すべての人が誇りを持てる世の中にしたい

対談企画「僕が出逢った十人十色」第13弾は、公務員を辞めて2つの法人を立ち上げ、食の6次産業化などを通じて地域活性化しようとしている藤澤 直武さんに話を伺いました。

藤澤 直武
1970年生まれ。岡山県出身。当初は船穂(ふなお)町役場に奉職。職務の傍ら岡山から毎週末2年間、 兵庫県立大学大学院(MBA)に通い、地域イノベーションについて学び修了。以後、全国地域リーダー養成塾、 食の6次産業化プロデューサー等の理念を併せ、地域で活躍する。経営コンサルタント(中小企業診断士)としては、 小規模事業者や公営事業を対象とした独創的な支援を行うほか、海外ビジネススクールや有名企業で採用されている 能力開発法を地域の人材育成に適用している。2013年ベンチャーキャピタリスト関係の検定で部門全国1位のスコアとなる。 趣味の乗馬歴25年。週末はフランス料理・菓子の専門学校で菓子作りに触れたり、アーユルヴェーダを学ぶ等、 食・人・自然の関係を重んじる日々を送っている。

みんなが来るような町にしたい

ケンフィー 食以外ではどういったことを考えてますか?

藤澤 直武 まず食以外っていう直接的な部分で言うと、例えば伝統工芸とか、その地域ですごくこだわってやっているのに、日の目を見ていないというか、売り出し方が分からなくて、止まっているものがあります。例えば、ある地域で言うと『組子(くみこ)』っていう有名な技術があって、釘なんかを一切使わずに竪子(たてご)を組んでいく技術なんですが、そういうのって、やっぱり職人技なんですよ。

ケンフィー はい。

藤澤 直武 すごく作ることに対してはプロフェッショナルで、喋り出すと止まらないんですけど、それをどう活用するかってなると、やっぱり止まっちゃうんですよね。そこで僕が考えたのは、スキーの民宿が多い地域で、最近中国のお客様とかがすごく増えているんで、「襖(ふすま)とか入口の部分だけでも組子のスクリーンとか入れさせてもらったら?」って言ったんですよ。インバウンドみたいですけど。

ケンフィー はい。

藤澤 直武 すると、やっぱりすごく喜ばれて。それが(職人の)仕事になって継続的に増えていったりすると、お客様にとっても良いし、職人の人たちにとってもメリットになるわけですね。こうしていくと、みんなが来るような町になるようにしたり、そういうことをこれからもしていきたいなと思っています。

人の役に立って人生を全うしたい

ケンフィー 例えば何をされる予定ですか。

藤澤 直武 1つはDMO (Destination Management Organization) です。地域にはいろんな資源があるので、それを一括して管理をして、そこにマネージメントとマーケティングっていう観点を加えた観光経営を行って、直接的に効果を上げていくような会社を作っていくっていうことですね。

ケンフィー はい。

藤澤 直武 もう1つは『一社一村』です。基本的には都市部の地域の企業と農村が、対等に連携をする。最初簡単な交流から始まるんですけど、その地域にいろんな企業の人が訪れるようになって、お互いに交流をしていく。若い人にとっても単に会社に働くっていうことにあまり魅力がないわけで、地域で評価されたりとか、有難られたりしていくことで、その会社にいることが誇りになるようになればいいなとも思っています。

ケンフィー 農村は農村の方で、そういう若い人たちが来てくれることが、メリットになりますよね。

藤澤 直武 はい、楽しみになる。例えば年寄りの溝掃除を手伝うといったような、そういう流れが出来ればいいなと思うんですけど、なかなか難しくて。実際にすべての過疎化の問題だとか、人口粒度の問題を解決するっていうのは、僕は難しいと思うんですよ。

ケンフィー それはもう、流入者というか、人の移動を増やしていくことで、実質的な平均時間あたりの滞在数を増やさないといけないですよね。

藤澤 直武 そのとおりです。定量的に管理できるものもあるんです、活性化の指標の範囲ではね。でもそれ以上に、流入がきっかけで、そこに住んでいる人が誇りを感じるっていうことが一番、僕は大事だと思っています。あとは、生き甲斐とか。病室で寝ている人にも、やっぱり生き甲斐があるわけで、例えば起きた時に「今日は雨降っとるな」とか、何か感じるっていうことが生きてる証拠だと思うんですよね。だから、どんな地域に住んで、不便かもしれないし、もっと不便になっていくかもしれないですけど、そうであってもその地域の人が、何か感じれるようなものが残れば、僕は儲からなくてもそれで良いと思ってます。

ケンフィー 最後に藤澤さんが人生で本当にやりたい一番の目標っていうのはなんですか?

藤澤 直武 まずは、人の役に立って人生を全うしたいなって思ってます。自分以外に、いろいろな人の思い出に残るような、そういう仕事がしたいなと思ってます。それはやっぱり、お金では計り知れないというか。だから僕は儲けたお金は全部そういう、世の中のために使って終わりたいなと思ってます。

ケンフィー ありがとうございました。

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