僕が出逢った十人十色
玉川四季物語を通じて玉川の魅力を発信したい白鳥さんのお茶への想い〈後編〉
玉川の魅力を伝えるために自らみんなに会いに行く
今回の取材でお話を伺ったのは、家業のお茶屋さんを継ぎながら、お茶を通じて玉川の魅力を伝えたいと挑戦されている白鳥 勝之さん。 後編では、お茶を通じた地域創生に向けてこれからやりたいことなどを取材しました。

白鳥 勝之
1979年生まれ。静岡県静岡市葵区玉川地区で生まれ育ち、一旦地元を離れて東京農業大学で学んで、Uターンして家業であるお茶農家を継ぐ。
その後、実家を離れて会社に勤め、社会経験を積んで、現在は個人事業としてお茶の生産から販売を行っている。
「玉川四季物語」を通じて、玉川の魅力を発信し、お茶農家として新たな挑戦をしている。
お茶を通じて玉川を発信したい
ケンフィー 白鳥さんが思う、地域創生の課題は何でしょうか?
白鳥さん 今、玉川の旅館や温泉、観光施設などが連携取れていなくて、
もっと繋がれば、もっとOneTeamで押し出せば、魅力が伝わるのにって思ってます。
だからこそ、「玉川四季物語」を通じて、一人一人の中にある玉川での物語(ストーリー)を味わって欲しい。
僕のストーリーだけでなく、玉川に住んでいた人、玉川に住んでいる人、玉川に興味がある人、玉川に行きたい人、
それぞれの玉川ストーリーを発信していきたいと思います。
ケンフィー パッケージを見ても、お茶というより玉川のことが
印象づけられるようなデザインになってますが、これもそういう意図があったんですね。
白鳥さん その通りで、「玉川四季物語」はパッケージにお茶の要素を入れていません。
お茶としてではなく、玉川のことを思い浮かべながら飲んで欲しいから。パッケージのデザインは、
知り合いの絵描きの方に頼んで、お茶感は出さないように絵を描いてもらいました。
お客さんと直接会って、玉川について話しながらお茶を販売したいという想いからネットでは販売して来ませんでした。
ケンフィー 面白い取り組みですね。お茶を販売する上での課題とかってありますか?
白鳥さん お茶農家は、それだけで生計を立てている人がほぼいないんですよ。
都市部だと兼業だし、僕も林業も行って生計を立てていますから。だから、お茶農家になる人が減っているんですね。
ケンフィー 静岡県外の大規模農家に販売量が勝てなくなりつつあるみたいですね。
ただ、静岡のお茶には「歴史」という価値が残っているので、ブランド化できれば道は切り拓けそうですが、いかがですか?
白鳥さん お茶はブランド化して販売することが難しいです。
というのも、お茶って飲食店などで無料で出されることが多いため、お茶の銘柄にこだわる飲食店やお客さんは少ないんです。
一方で、コーヒーはお金を払って飲むと定着しているから、味にこだわりやすいし、味や品質で差別化できるんですよね。
ケンフィー 確かに、お茶は”当たり前の存在”だからこそ、付加価値を付けにくいところもありそうですね。
その課題に対して、何か解決策とかありますか?
白鳥さん その話で言うと、先ほどネットで販売して来なかったと言いましたが、
この先ネット販売というのもやっていきたいと考えています。
ただ1つ、体温の伝わるネット販売をするという条件が付きますが、ネット販売にも力を入れていきたいなと。
ケンフィー ネット販売をしていこうと考えが変わった理由はなんでしょうか?
白鳥さん 生産者の顔や想い、こだわりが伝わるようなネットでの売り方なら、ネット販売でも問題ないと考えました。
日本中のどこかで、誰かが僕のお茶を飲みたいと言ってくれるなら、是非届けたくて、それが直接会って届けられたらベストだけど、
お互いの想いが繋がれば、ネットを介しての購入でもいいのではないか、と考えたわけです。
ケンフィー なるほど。体温が伝わるネット販売、いいですね!
白鳥さん 今まで日本全国を相手にするなど、全く意識したことが無かったけど、
このインタビューを通じて、全国の待っていてくれる人に届けることを意識するようになりました。
ケンフィー それはよかったです。今後は、よりたくさんの人に、玉川の魅力やお茶の美味しさを発信していかれるんですね。
玉川の魅力を知ってもらうためにみんなに会いに行く
白鳥さん あとは移動式のカフェを作って、みんなに届けに行くことも考えています。
ケンフィー 移動式のカフェですか?
白鳥さん お茶を通じて玉川に足を運んで欲しいと思っていたけれど、
最初は自分からいろんな人に会いに行って、僕のお茶や話を通じて玉川に興味を持ってもらって、
玉川に来てもらう必要があるんじゃないかと考えるようになりました。そのために、
玉川で楽しめる環境を作ることはもちろん、自分が外に出てお茶を試飲してもらえる環境も作る必要があります。
自分が移動しながら、お茶を試飲してもらう方法として、「移動式カフェ」がいいのではないかと思いました。
ケンフィー なるほど。すごく面白そうですね!
白鳥さん 最初は自分から会いに行って、会った人が玉川に来て堪能して欲しいと思っています。
そして玉川で、野菜作り、収穫体験、キャンプなど、いろんなことができる場所を作りたいです。
ケンフィー アイデアがどんどん繋がっていきますね。白鳥さんの今後の活躍が楽しみです。
白鳥さん ありがとうございます。もし機会があれば是非、玉川にいらしてくださいね。
ケンフィー また機会があれば是非行きたいです。今日はお話ありがとうございました。
白鳥さんが商品化した「玉川四季物語」。
お茶の要素を取り除き、
玉川の風景画が描かれたパッケージが特徴。
玉川四季物語を通じて玉川の魅力を発信したい白鳥さんのお茶への想い