僕が出逢った十人十色

マイノリティが認められる社会へ Vol.5 人間なんて括れるもんじゃない

対談企画「僕が出逢った十人十色」第8弾は、様々な団体を運営されている西谷一哉さんと最近話題になってきたセクシュアルマイノリティについて対談しました。

西谷 一哉(写真左)
1983年生まれ。岡山県出身。株式会社風良里2代目代表取締役社長。現在は、NPO法人若者応援コミュニティとりのす事務局長、株式会社風良里取締役専務、NPO法人シェアラボ理事など様々な団体の運営に携わり、多くの人の支援を行っている。

人と違うことに対する誇り

ケンフィー 井口さんに対してこういう話は初めてだと思うんですが、性的なマイノリティだと感じたのはいつ頃ですか?

井口陽平 今でも感じてないよ。逆に俺は中学校のときに「よっしゃー」って思った。有名な哲学者って人と違う考えを持ってるじゃない。あっ俺、人と違うわ、やっぱり天才やったわって(笑) そういう感じで思ってるから、セクシャルマイノリティとして嫌な思いはしたことはないけど、嫌な思いをしてきた人を見たことはある。でも、それって太ってる人も同じだと思う。太ってる人でもイジメられる子もいれば、イジメられない子もいるから、太ってる人(マイノリティ)=イジメられますよねって言ったら、多分シャクに触ると思う。俺は今でもマイノリティに感じていなくて、今、LGBTと並んでダイバーシティという言葉も流行っているけど、「あっこれが多様性で、人間なんて括れるもんじゃないな」と感じた。

井口 陽平
1991年生まれ。大阪府出身。大学時代に学生イベント企画団体「とり.OUS」を創設し、総合プロデューサーとして数々のイベントを企画・運営する。大学を卒業してからもNPO法人「若者応援コミュニティ とりのす」代表理事として、若者の応援や意識改革など、多彩な課題に取り組んでいる。本対談企画でも取り上げさせていただいていますので、そちらも併せてご覧ください。(Vol.2Vol.4Vol.6

性はグラデーション

井口陽平 本当は「セクシュアルマイノリティで傷ついてきた人の声」も発信してあげないといけないけど、そういう人たちは自分では言いたくないし。それって、震災復興の話と似てると思うんだけど、(震災のことは)言いたくないし忘れたいよね。あとこれは戦場に行っているカメラマンも同じだと思うんだけど。見せちゃうことって非情かもしれない、でも、そういうことも見せていかないと世の中は変わらないから、それが一概に悪だとは言えないよね。

ケンフィー そんな中で LGBTとして登壇に立って講演を行う人も増えてきたけれど、その人たちの話が 「LGBT」としてまとめられるってことがありがちですよね。

井口陽平 聞く側が、LGBTは多様で、登壇者は「その内の1人」だと思ってくれればいいよね。例えば、経営セミナーでも「100通りのやり方がある」と思って聞いていたら、こういうやり方もあるんだと思えるけど、何も考えずに聞いていたら、「そのやり方が神だ!」ってなっちゃうよね。

西谷一哉 ケンフィーくんは、以前、トランスジェンダーさんの方の講演会に行ったんだよね。

ケンフィー そうですね。(講演に関しては→マイノリティが活躍できる、やさしい革命-キャンパスライフセミナー「さまざまなセクシュアルマイノリティについて、知る。考える。6th」を聞いて思ったこと《感想》参照)

井口陽平 話してる講演者は悪くなくて、聞く側が「これも1つの話だ」と、意識して聞こうねということは伝えた方がいいと思う。俺はこういう問題が出てくるまで当事者だけど、講演とかは考えたことがなかった。自分がセクシュアルマイノリティだと広めようとは思ってもいなかったし、困ったこともなかったから。 でも今ちょっとブームになってるから、2年前はスルーされたけど、今は「もしかしてアレですか?」ってなることが多い。ストレートの人が敏感になりすぎてる(笑)「あの今話題のー?!」みたいな(笑)別に嫌じゃなくて、こっち(マイノリティ側)は変わってないけど、そっち(マジョリティ側)が柔軟な方向に変わっていってるなーって感じ。

ケンフィー (セクシュアルマイノリティは)定義しようにも定義しきれない部分もありますよね。

西谷一哉 性は「100:0」ではなく、グラデーションだからね。

井口陽平 「99%女が好きで、1%男が好きな人」もいれば、「45%女が好きで、55%男が好きな人」もいるだろうし。中には気付かんかったらよかったと思う人もいるだろうし、一般的に生きていれば一般的な家庭が築けたのにってのもあるから。最終的には、自分の生き方を決めるのは、自分自身だからね。でもこの問題を通して、社会的な問題を見る習慣を日本人がつけてくれればいいなって思う。人間として生きている以上、働き方改革と同じで、LGBT問題も関係ない人はいないから。

ケンフィー 今日はお忙しい中、いろんな話をしていただき、ありがとうございました。